タマリバ周辺生息日記@ 主に、ニコタマ

主に、サッカー(川崎フロンターレ、少年サッカー育成、審判)、子育て(長男7歳、次男2歳)、キャンプ、仕事(そろそろ変わる潮目かも)、について幅広く発信していきます。いわゆる37.5歳年代向けのブログを目指します。

[小ネタ]アメリカにおける動画広告市場の伸び

eMarketer.comから興味深い記事を見つけたので、以下シェアします。

 

個人的には、マーケットデータで語られている市場の伸びと、実際に消費者がどの程度生活においてスマホやPCで動画コンテンツを見ているのか、との差異はきちんと調べてみたいところ。

 

Video Swells to 25% of US Digital Ad Spending

www.emarketer.com

ding



まずトップメッセージとしては、

「2018年に、米国の動画広告市場は約270億ドル(約3兆円)市場に成長し、デジタルマーケティング費用の25%を占めるまでになる」

というもの。

 

そして、そのうちの1/4をFacebookが握り、まさにSNS動画広告プラットフォームのトップに君臨する、という内容。また、2桁成長は2020年まで続くだろう、という予測も記されています。

 

これには、FBの経営陣も手応えをつかんでいるようで、

マーケ担当者からも「インフィード動画広告はユーザーの興味を引きつけ、ブランド認知度を上げるのに効果的」と評価も高い模様です。

 

その他、Snapchat、Tiwtterも同様に2020年までは高成長が見込まれ、YoutubeGoogleグループにおける広告収入全体の11%を締めているとのこと。この数字の見方は、トップメッセージにおける25%と比較すると小さいので、Googleの依然主力たるPC広告・スマホ広告の巨大さを逆に示しているとも言えます(少し乱暴なロジックではありますが。)

 

今後、日本がこの市場においてどのような広がりを見せるか。

5G時代の到来と相まって、楽しみですね。

 

[書評]ジョブ理論(原題「Competing Against Luck」)(クレイトン・M・クリステンセン他著)

イノベーションのジレンマ」の著者であるHBSのクリステンセン教授による新著(日本語版は2017年8月に初版出てました)。

イノベーションのジレンマ」では、既存産業をあるイノベーションがシンプルで使いやすく安価なプロダクトをもって転換させ最終的には当該産業を完全に再定義する現象を示す「破壊的イノベーション」理論として紹介していた。だが、これはどこに新しい市場を作るべきかを解説したわけではなく、それを可能にする理論として紹介されているのが「ジョブ理論」。

顧客は機能や価格を見て単にプロダクト/サービスを購入するわけではなく、顧客が遂げようとする進歩(顧客が片付けるべき「ジョブ」と呼ぶ)を解決するために顧客は商品を「雇用」するというのが、「ジョブ理論」の中核。この理論を説明すると共に、いくつかのアメリカ企業のケースを紹介、また、本理論を組織としてどう取り込むかの概念方法論を解説しているのが本書の概要です。

 

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

  • 作者: クレイトン M クリステンセン,タディホール,カレンディロン,デイビッド S ダンカン,依田光江
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017/08/01
  • メディア: 単行本
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読もうとした目的・狙いはなんだったのか?

昨年10月にレビューをいくつか読んで購入はしていたのですが、途中まで読んで挫折していた本書。当時を思い起こすと、2017年6月頃に、それまではメンバーとして参画していた新規事業プロジェクトのプロマネを諸事情あって任され、それと前後して、同内容のビジネスをローンチしたスタートアップが突如現れたり、同業他社(しかも企業規模がより大きい競合)も追随したりして、精神的に少しナーバスな時期でした。当初描いていた事業計画を、競合と差別化するためにどのようにReviseしていくか連日議論していた記憶があります。そんな中で、我々のサービスを顧客が手にしてくれるにはどうしたらいいか、をもう少し戦略的かつ論理的に考えたい、と思っておそらく手に取ったのだと思います。

 

しかしなぜ途中で読むのに挫折してしまったのか、そこまでは思い出せません…アメリカのビジネス書によくある典型的な構成(論旨についての主張が繰り返される&アメリカ企業のケーススタディーがたくさん出てくる)に、忍耐力と知性がついていけなかったのかもしれません(苦笑)。そして今、次の会社へ移るまでの思考整理期間に読むべき書としては、ちょうど良いテーマと思い、再び読み返してみることにしました。

 

 

本書を一言で表すと。

この直前に読んだ「スタートアップ」と同様の主旨として、「消費者はもはや価格や機能だけではプロダクト/サービスを購入しない」世界になってきており、商品を開発するには、「スタートアップ」の場合には顧客を探してそして検証をせよ、というアプローチなのに対して、「ジョブ理論」ではその顧客の感情的側面・社会的側面にも着目して、片付けるべきジョブをどう捉えていくかの方法論へのアプローチを説いています。

上記の前提に依って立つ2つの書籍を同時期に選んで読んだのは、私自身が解を欲しがっているテーマが、今後の会社での事業開発職における仕事の進め方・ヒントと思ったからなのでしょうが、結果的に興味深い選び方をしていました。

 

2書に共通していますが、大企業におけるこれまでのような商品開発プロセスでは、的外れたアウトプットになるという警笛を鳴らしており、私もこれらのプロセスを身をもって体現・実現することで、大企業(メガベンチャー)でストレスを抱えていた、既存の進め方と消費者の購買メガニズムとのギャップを埋める仕事をしていきたいと感じた次第です。

 

 

章立て

序章 この本を「雇用」する理由

第1部 ジョブ理論の概要

第1章 ミルクシェイクのジレンマ

第2章 プロダクトではなく、プログレ

第3章 埋もれているジョブ

第2部 ジョブ理論の奥行きと可能性

第4章 ジョブ・ハンティング

第5章 顧客が言わないことを聞き取る

第6章 レジュメを書く

第3部 「片付けるべきジョブ」の組織

第7章 ジョブ中心の統合

第8章 ジョブから目を離さない

第9章 ジョブを中心とした組織

第10章 ジョブ理論のこれから

 

感じたこと・気づき

第1部「ジョブ理論の概要」より

第1章~第3章で構成される第1部においてはまず、ジョブ理論の定義と概要が説明されます。

 

「顧客はある特定の商品を購入するでのはなく、進歩するために、それらを生活に引き入れるというものだ。この「進歩」のことを、顧客が片づけるべき「ジョブ」と呼び、ジョブを解決するために顧客は商品を「雇用」する」

 

というのがジョブ理論の中核です。

また、ジョブをとらえる時留意すべきこととして、

 

「ジョブは機能面だけでとらえることはできない。社会的および感情的側面も重要であり、こちらのほうが機能面より強く作用する場合もある。」 

 

ことに触れ、ジョブが本来持ちうる複雑さについて説いています。

 

具体的には本書で何度も取り上げられている、ミルクシェイクとサザンニューハンプシャー大学(SNHU)のケースだと、下記のようになります。

 

ミルクシェイク→朝の通勤客が片づけるべきジョブ=「仕事先までの長く退屈な運転を気を紛らわせたい。そして昼まで腹持ちよくさせるものがほしい」

ただ、夕方になると異なるジョブのためにミルクシェイクが雇用されもします。

つまり、父親の「子どもにいい顔をしてやさしい父親の気分を味わう」ジョブを解決するものが必要になるので、この要件を満たすには、朝のシェイクの半分のサイズにするなどの開発の方向性が新たに導き出されることになります。

 

SNHU→高校生にとって片付けたいジョブ=「初めて親元を離れて大人としての体験をしたい」である一方、オンライン学習プログラムを受講する社会人にとって片付けたいジョブは「将来のキャリアアップを目指し、家庭の生活水準を向上させるための勉強を、仕事と家庭を両立させながら実現したい」というものです。

 

ジョブ理論をレンズとして消費者や市場を見つめると、同様商品を売る他社を競合と見ることが狭小的な視野であることが分かります。ミルクシェイクの競合は単に味の異なるシェイクを提供する他社ではなく、前述のジョブを解決できるバナナやスニッカーズだったりします。加えて、SNHUの場合は、社会人として学び直しを「しない」、つまり「無消費」である市場との競争も視野に入れる必要があります。ただ、ここに気づくことで競争過多状態からのスタートでなくなるので、ある意味ホワイトスペースと言えて、有利にイノベーションを進められるメリットもあるのはおさえておくべきポイントです。

 

第2部「ジョブ理論の奥行きと可能性」より

第2部では、実際にどのようにジョブを探すかを方法論として説くと共に、顧客がなにかを「解雇」し、そして他のなにかを「雇用」するストーリーにおける、感情的・社会的側面の読み取り方について説明を進めていきます。

 

自社の商品が雇用される、ということは他の何かを解雇している、というわけであり、その際に企業側が着目すべきは、顧客が新しい解決策に乗り換えようとする力よりも実は「変化に反対する力」の方が強い、という行動経済学的ポイントです。いわゆる損失回避の心情です。よって、企業側は顧客の不安を打ち消すことが大事になります。

 

この点への対処法としては、ストーリーボードを使い顧客のストーリーを描くこと、と触れています。が、そのストーリーボードの具体的なサンプル図示が無いのは、ちょっと残念…ただ、10ページ強に及ぶ、コストコマットレスを衝動買いしたウォーカーへのインタビュー会話は参考になります。時系列で顧客の感情をあぶり出し整理することが淡々と描かれます。

 

第3部「『片づけるべきジョブ』の組織」より

最後の第3部では、これまで述べてきたジョブ理論に基づき、ジョブを中心にプロセスを統合し、組織を最適化する企業のケースを説明しています。加えて、組織として立ち上がった後のマネジメントとしてデータ中心の分析・評価の色合いが強くなる傾向に警笛を鳴らし、最終章においては理論の限界についても触れられています。

 

第7章では、プロセス統合のケーススタディとして、メイヨー・クリニック、トヨタGMの車載情報通信サービス「オンスター」、amazonが取り上げられています。が、実際にどのようにプロセスが構築されたのか、どのような考えに基づき最適化がなされていったのか、については、筆者自身も「プロセスは顧客の目には見えない」「プロセスは手で触ることができない」と言ってしまっているスタンスからも分かる通り、言語化はきちんとなされていません。なので、この章から体系的に何かを学べたという満足感が小さいのは残念です。(ひょっとして、このあたりのトーンダウンが、去年読了するのを挫折した理由だったのかも?)

 

第9章の「ジョブを中心とした組織」においても、同様です。章名からして、ジョブへの注目がなされたことによりその企業は組織構築をどのように改善していったのか、について触れてくれるのかと思いきや、第2章と同様にケースごとのジョブの定義や発見方法に触れられるのが大半です。そこは正直期待はずれなのですが、結局、筆者は組織が大きくなると、

 

顧客やプロダクト、競争相手や投資家のほうにはるかに熱心に取り組み、一方でジョブへの集中心をどんどんなくしていく。しかも、統制を強め、効率性を追求しようとする(中略)顧客の片づけるべきジョブを効果的に解決するよりも、内部プロセスを効率よく実行する

 

ことにとらわれはじめる、と注意をうながしており、組織がどうあるべきかを説くのではなく、大きくなってもジョブの解決に、経営陣もマネージャーも現場スタッフも注力しようね、というのが主旨なのだと感じました。

 

明日からのToDo

 

「STARTUP」を読んでも同じようなことを感じましたが、ジョブ理論でも共通して、顧客がどのような感情的または社会的側面から商品を選び購入に至るのか、から開発なりイノベーションを始めましょうというのは、組織が大きくなるに連れ、実際の企業活動から乖離しがちなことと感じました。

同様の主旨の書籍を同時期に立て続けに読んだのは、偶然ではないと思います。おそらく、自分自身がメガベンチャーにいて、消費者が真に欲したいものや解決したいものへリンクできるプロダクトの開発に見を投じることのできなかった後悔から、この2作品を読みたくなったのだと思います。

 

その後悔を晴らすべく、新しい会社では消費者の片づけるべきジョブを解決できる、そんなサービスを作り、社会に貢献していきたいと改めて意を決した、そんな書籍でした。

[書評]スタートアップ(原題「all in startup」)(ダイアナ・キャンダー)

2~3年前に日本でも言葉が出て来始めた「リーン・スタートアップ」手法に関して、ノウハウを解説したビジネス書。ただ、通常のビジネス書のように、実際の事例やCase Studyを織り交ぜながら手法を(やや抽象的な表現を使って)解説する類ではなく、小説テイストで手法を分かりやすく、かつ記憶に定着しやすく説明していくテイスト。

これは、2000年代にベストセラーになった「ザ・ゴール」と同じアプローチ。

Key Pointが結構削ぎ落とされたので、本の主旨は多くはなく、それが返って読後に非常にインパクトを残すことにつながっていると感じます。

 

STARTUP(スタートアップ):アイデアから利益を生みだす組織マネジメント

STARTUP(スタートアップ):アイデアから利益を生みだす組織マネジメント

 

 

読もうとした目的・狙いはなんだったのか?

スタートアップ転職に向けた準備読書の第二弾。

スタートアップにおける事業化プロセスの理解と実践に向けた第一歩として本書をチョイスしました。また、大企業/メガベンチャーにいるとなかなか経験することのできないピボット(事業転換)の方法論についても、今後知っておくべきと考え先を見据えて、本書に臨みました。なお、同時に「リーン・スタートアップ」(エリック・リース著)も購入していたのですが、「スタートアップ」のほうが平易で読みやすそうで、理解したことの定着にまずは効果的だと思い、こちらから読むことにしました。

 

本書を一言で表すと。

冒頭述べたように、主張するリーン手法の論旨はとてもシンプルで、本書の序章「はじめに」でも述べている『4つの原則』が全てです。

 

その中の2つが、内容的には本書の主張の8割を占めています。

事業化に際してはいきなり商品やサービスを作るのではなく、顧客を見つけることと、その顧客が真に困っていること(本書では「偏頭痛」級と称している)に対する解決策をその後に商品化する、ということ。これを中古自転車オンラインサイトを起業した元コンサルのオーエンが、起業家でありエンジェルでもあるサムと出会った世界ポーカー選手権での勝ち上がりとともに、学びと実践を進めていくプロセスを著した、小説風ビジネス書です。

 

本気に起業を目指す人よりかは、ひょっとしたら企業にいながら近い将来起業をしたいサラリーマンのほうが読むと色々と気づきを与えられるビジネス書なのかもしれません。

 

章立て

はじめに

第1部 人はビジョンを買わない

第2部 仮説で勝負するのは危険

第3部 正解を知るのは顧客だけ

第4部 仮説を証明し勝負に出る

 

感じたこと・気づき

「はじめに」で冒頭から記されており、このブログでも前述したとおり、本書の要点はこの「4つの原則」に集約されているといっていいです。特に、原則①と原則②

 

原則①―スタートアップの目的は顧客を見つけることであって、商品を作ることではない

原則②―人は製品やサービスを買うのではなく、問題の解決策を買う

 

よくやりがちなプロセスとして、アイデアを思いついたら、商品作りとブランド(名称、ロゴ、サイト)作りをして、それから顧客を探し始める、というものがあるが、筆者はこれを「大抵は空振りの三振」「スタートアップ絶望のループ」と一刀両断する。

商品作りの前に、顧客を見つけ、その顧客の話に耳を傾け問題をあぶり出し、その解決策を見つけようというのが、本書で主張するリーン手法です。

 

と書くと、これらの原則自体は拍子抜けするほどシンプルであたりまえのように感じてしまうのですが、実際自分の周りで起業して会社を始めた人の話を聞いてみると、この絶望のループに陥っている人たしかにいるような気もします。やはり、起業したい人はまずプロダクト作りから始めたいものなのですかね…

 

この手法は会社に勤務しながら、新たにビジネスを立ち上げたい人にも効果的な手法です。世間での評と同様に、スタートアップはリスクを伴うものとしたうえで、会社を辞めたり財産をなげうって起業した後に失敗する事態を防ぐにも、実際にスタートアップを始める前に思いついたアイデアを、街に出て潜在顧客に話しかけ、仮説に同意してもらえるか調べて検証しましょうと諭しています。ここはサラリーマンとして勇気がもらえる示唆ですね。

 

これは同時に、起業してしまった人へのシビアな助言でもあります。「顧客がいるかどうかを見極めるまでは一切なにもしてはいけない」と。それは、商品名を決めることや、会社を辞めること、会社設立など、それら全てです。

ま、資金調達には、これらの仮説検証の結果が論拠としては必要な気もするんですけどね。

 

次に、検証する時のポイントとしては、下記が述べられています。

 

相手に自由に回答してもらえるようにオープンエンド型の質問をすること。

 

潜在顧客が積極的に時間と資金を投じて問題を解決しようとしていなければならない。つまり正真正銘のニーズが存在しなければならない。そうでなければ大した問題ではない。

 

インタビュー開始時に何かを売りつけるつもりはないとはっきりさせておくこと。そうすると潜在顧客は胸襟を開いて自分の問題を語ってくれる。

 

他にインタビューできる人がいるかどうか、必ず潜在顧客に聞いておくこと。

 

潜在顧客に痛みについて正直に語ってもらうこと。決して誘導してはいけない。

 

相手が座っているときにインタビューすること。歩いている人や立っている人と比べると、座っている人はより多くを語ってくれるし、より多くの質問にも答えてくれる。

 

などなど。

「顧客インタビューで成功するためのルール」として、それぞれ「何番目」のルールか説明されていますが、読み通して不思議に思うのが、結局いくつポイントがあって、本書で触れられていないポイントはいくつ残っているのか、ということと、なぜそれらには触れられなかったのか、という点です。

 

本書の大半、特に後半部では、上記の検証のしかたやインタビューのノウハウ解説に多くを割いていますが、そもそも検証すべきアイデアや仮説を作る部分については、前半(第1部の最終章)で少し触れる程度で解説されています。

 

イデアを明確にするには、まず「顧客、問題、解決策について短く説明する」こと。かつ、具体的にも説明すること。特にこの中で重要なのは、問題の存在を証明することが始めに来るという点です。(しかも、偏頭痛級の深刻な問題)それが証明できて初めて解決策に進めるのです。そして、その存在証明に必要なのが、潜在顧客から実際に聞き出した言葉になります。つまり、アイデアを考え出した人の独力ではなにも検証できないということになります。

聞き役に徹する。

何が問題なのか自分の意見を押し付けない。

何かを売りつける営業マンのようには決してならない。

純粋に個人的な趣味から質問しているように振る舞う。

 

などなど、本書では何度も問題の存在証明のためのTipsが繰り返し説かれます。

 

ある意味これが本書の要旨全てであるといってもいいでしょう。

 

明日からのTo Do

 

ルールやノウハウは意外とシンプルな本書。

なぜ大企業やメガベンチャー(少なくとも私がいた会社)では、このようなアプローチが取られない傾向が多いのでしょうか。

個人的意見でしかないのですが、それは社内を説得するための判断材料として、リサーチデータやトラッキングデータなどの定量情報に頼りすぎるきらいがあるからではないでしょうか。あとは、潜在顧客などの不特定少数の消費者に個別に聞くのが効率が悪いとはなから思っているからではないでしょうか。

去年あたりからUX調査として、プロトタイプやローンチ直後のサービスを密室別空間にて、実際に触ったり使ってもらって、そのサービスの利便性や操作性を評価してもらう動きに取り組み始めたようですが、対象モニターの質的な面をみても圧倒的にものたりないと思っていました。

場合によっては、違う事業部の社員(内輪でないようで、事実上の内輪)にインタビューを行っていたケースなどもありました。その社員を集める時の、潜在顧客のターゲット層の特定もあやふやだったり、数を間に合わせるために許容度を低くしたりして、結果として質を落としていたと感じます。

圧倒的に外に出て、街に出て、潜在顧客に聞き込みをするというのが足りていない現状、そこにスタートアップ企業が労力をかける意味は有りそうですね。今月中旬から移る新天地では、こういう動きにもチャレンジしていきたいと思います。

 

[少年サッカー]世田谷区大会 1回戦敗退...

先週末は、長男が所属する地元少年団のサッカーチームが世田谷区大会の1回戦に臨みました。

 

結果は、0-3で敗戦。(前半0-2、後半0-1)

 

春の区大会に引き続き、1回戦敗退となりました。(ただ、春の大会ではその後、1回戦敗退チームによるトーナメント大会において見事準優勝)

 

20人もいる2年生全員に出場機会を与えるのが少年団の方針であるため、前半後半で2チームに分け、その中で交代を回していく戦い方でした。長男は、前半チームの中心選手でもあるため、前半15分間にフル出場。

前半3分頃に、両チームのファーストシュートとなる、ペナ角内側からの(低学年にしては)速くて強いミドルシュートを打った長男を見て、

「今日はイケるんじゃないか」

と期待を抱いたのですが... 

その後は、前線と最終ラインにそれぞれ3人を配置してしっかり幅を持たせた相手チームの、“団子サッカー”からこぼれ出たボールをワイドの選手に拾われてからのカウンター2発にあっさりとやられてしまい、リードを許す、という展開に。

 

長男のチームはまだポジショニングをとるという概念を教えられていないため、個の技術では中心選手レベルでは相手に勝てていても、(なにかのきっかけで)ワイドにボールが出た瞬間に走らされて相手チームの前進スピードについていけず、サッカーというチームスポーツへの初歩的理解力で明らかに負けていた印象を持ちました。

 

感じた課題としては、下記3点。

 

  1. 味方へパスをつける、周りの味方を使う、といった連携がほとんど見られない 
  2. セットプレー(ゴールキックスローイン)のスタートが遅い
  3. ボール非保持の時に、味方と相手の位置を見てどこにいるべきか、や、どう動くか、の判断ができていない

 

 

 

実は3失点とも、GKの基礎を教えていないがための技術ミスであったことから防げた失点だったので、GKの課題(1対1の位置取り、低いボールへの対処)も挙げるべきなのですが、まだそのレベルでもないと思いまして、ほんと基礎的な課題から記しました。

 

次週から早速始まる、1回戦敗退チームによるトーナメント大会にむけてどのような練習を今週末行うのか、は主任コーチの方が考えることになると思うので、自分が練習メニュー作りに関わることはないのですが、思考訓練として、どのような練習が必要なのか、を自宅で今後妄想してみようと思います。

 

それにしても、危機感を持ったのは、“団子サッカー”を既に卒業し始めている他チームがあるという事実。そのようなチームの試合を空き時間に見て勉強しろ、と子供達に言うのは簡単ですが、実際に自分のこと以外に興味を持たない低学年の子にとっては難しいことです。もしサッカー見ることも含めて好きな子がいてまじめに試合を見つめていても、見始めても何が良いのか、自分たちはどうしたらいいのか、まで理解するのは難しいでしょう。そこは、コーチ達が言語化して地道に教えていくしか無いのだろうな、と反省をした次第です。

 

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ここ3~4ヶ月は、子供達の自主性や考える力を良い意味でも、悪い意味でも大事にしてきましたが、言うべき時にはきちんと教えて指示をしてあげたほうがいいのかな、と思いました。教えてあげないことには、彼らの進歩と成長も起こりえず、いつまで経ってもサッカーの仕組みを分かることはできないのですから…

[ラグビー]トップリーグを初めて観に行ってみた

長男が小学校で月1回ラグビーの授業を受けているご縁から、世田谷区スポーツ振興財団さんの招待企画で、家族で初めてジャパンラグビートップリーグを観に行ってきました。

世田谷区に練習場を置く「リコーブラックラムズ」のホームゲーム。対戦相手は、東芝ブレイブルーパス

 

www.top-league.jp

 

 

 


18-19 リーグ戦第2節 リコーブラックラムズ vs 東芝ブレイブルーパス

 

社会人ラグビー時代は「東芝府中」というチーム名で有名で、強豪・名門というイメージがありましたが、現在はどんなチームになっているか正直知識は無し… 会場が駒沢公園オリンピック陸上競技場と、自宅から近いこともあり、家族4人で行ってきました。

 

ラグビー生観戦は、大学時代に母校が大学選手権で優勝して以来だから20年弱振り?くらい。実際に調べてみたら、、、

 

上田昭夫氏が死去 元慶応大ラグビー部監督 (写真=共同) :日本経済新聞

 

2000年1月以来だったので、実に18年振りのことでした。

それにしても、上田昭夫監督、懐かしい…

 

どのくらいの観客数なのか正直読めず、徒歩&バスで行くか、車で行くか直前まで悩みましたが、長男も午前中サッカーの練習試合で疲れているだろうと考え、車で。運良く、15:20過ぎに駐車場に到着した時点で2台待ちくらいで、3分待っただけですんなり入場できました。止めたところがバックスタンド側入口に近い駐車場で、招待対象の自由席はバックスタンド側、受付&チケット引換場所がメインスタンド側、と真逆な動線がイマイチでしたが、いつも行く等々力陸上競技場ほどの広さと大きさでないので、5,6分歩いた程度で受付に到着。

 

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入口前広場の写真は撮り忘れましたが、スターティングメンバーの情報が看板に貼られて発表されていたのが新鮮でした。

 

受付を済ませ応援グッズ(デカい団扇と小さいメガホン)をもらって入場。また、そこから真反対に歩いて戻るわけですが…

 

自由席に到着しましたが、応援団も少なく、家庭的というか牧歌的と言うか、なんとものんびりとした雰囲気(笑)。15:40到着した時には、応援団がコールリーダーのもと応援歌の練習をしてました。コールリーダーを見て、長男共々ビジュアルにビックリ。

 

週明けにあの方の存在が気になり、Twitterで探したら、無事発見↓

 

 

そうこうしているうちに選手入場~キックオフ。

 

そうだ。東芝には、日本代表の元キャプテン、リーチ・マイケルがいるではありませんか!日本代表戦のTV中継見るのが好きな長男も、さすがにリーチ・マイケルを見て興奮。彼のプレーを見れるだけでも来た甲斐があるというもの。

 

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東芝(赤いユニ)の一番手前のNo.6がリーチ・マイケル。ゴッツい肩幅。そして、足が長いっ!

 

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素人目線で見ると、東芝はパスのスムーズさと、バック陣の前進スピードと時々繰り出す中央後方からの突破を軸としたオフェンシブなプレースタイル。対するリコーは、パスで前進するよりかは、粘り強い守備で対抗してファールやラインアウトから得たボールをモールを中心にしてじっくり進んでいく重装な攻撃がスタイル、といった感じでしょうか。

 

特に前半は、東芝の12番、CTBファアウリ選手のスピード突破にリコーのFW陣が手を焼いた印象でした。あと、リコーの攻撃は、FBロビー・ロビンソンが、東芝のスカウティングが効果的だったからなのでしょうか、キックへのプレッシャーが速く強かったため、ロビンソンのキック精度が低く、パントキックを活用し一気に前進するという手をことごとく封じられたように見えました。ただ、東芝もミスが多く、もう22mライン内側まで攻め込むも、ノックオンなどで機会をことごとく逸失。東芝が幸先よく先制するものの、追加点を入れてリコーとの点差を伸ばしていくという流れにはもっていけませんでした。

 

後半に入り、東芝の12番ファアウリ選手に対するリコーのマークと守備ブロックがはまり始め、リコーの攻撃は前半ミスが多かったパントキックの回数を減らしボールの保持時間が長くなり始めました。ここは個人的推測に過ぎないのですが、被保持が長くなったことで東芝の選手の体力と集中力が削がれたのか、東芝ボールのラインアウトも3度ほどリコーがターンオーバーし、さらに保持時間が長くなる、という好循環が回り始め、リコーが逆転できるのでは、というスタジアムの雰囲気が出てきたのは、今回見ていて一番興奮しました。

 

結局、後半35分過ぎてからの、リコーの怒涛のドライブも東芝が選手交代などうまく使った結果、守備で奮闘し、前進しているように見えるリコーが実はジリジリと後退してしまって、焦った結果(たしか記憶では)リコーのノックオンで、最後惜しくもノーサイド負けはしましたが、じつに締まった良い内容のゲームでした。子供達的にはもう少しトライ多いほうが点の動きがあって面白いんでしょうけどね(苦笑)

 

Jリーグや海外含むサッカーを見始め、今年からはSNSで様々な分析記事や投稿を見て、そういう見方で試合を観戦するようになったことから、ラグビーも自然と分析家然とした生意気なスタイルで見てましたが、スタンドの最前列で見ると、選手の動き方を全体的に掴むこともできますし、声もよく聞こえて、勉強になりました。金曜夜に秩父宮ラグビー場で毎節なにかしら試合があるということなので、今年はあと2,3回は試合見に行ってみたいですね。

 

そして、なにより今回行ってみて、実に興味深かったのが、リコーの応援団!

 

コールリーダーのビジュアルとキャラもかなり“タッてます”が、野球の応援とJリーグの応援をミックスさせたような応援スタイルは、試合見てから色々ネット見て知ったのですが、他チームにはないかなり独特のものらしいです(笑)。ロビー・ロビンソンの応援歌が、フロンターレの守田のチャントと元歌が同じだったりして、長男も真似して口ずさんでました。リズムもいいので、試合が終わって週が明けてもトイレ入ったりしたふとした時にあのメロディーが頭の中に浮かんできたりするんですよね。実は中毒性あるかも。

 

あと、最後に。印象的なシーンとして、これは他のスポーツに決して無いな、と思ったのは、敵チームの応援団にも、ノーサイド後に挨拶に来る、というスタイル。リーチ・マイケルが目の前に来て手を振りまくるほど興奮してしまい写真撮るの忘れてしまいましたが、これこそ、ラグビーの「ノーサイド」の考え方=試合が終わったら敵も味方も無くなる、を体現する儀式だなと感動しました。

 

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こういう後味の良さも含めて、トップリーグの良さを体と心で実感した、そんなラグビー観戦記なのでありました。

 

[書評]起業のファイナンス(磯崎哲也)

そもそも会社を設立し事業計画を立てるというのはどういうことなのか、から、企業価値の算出法や資本政策、投資契約に関する基本的なお話、そして、ベンチャーのコーポレート・ガバナンスの成熟プロセスについて、広く全般的に解説している、いわば入門書。

大企業やメガベンチャーにいるとつい「遠くの世界のこと」になってしまいがちなトピックを、易しく説いていて、非常に勉強になりました。

 

 

起業のファイナンス増補改訂版

起業のファイナンス増補改訂版

 

 

読もうとした目的・狙いはなんだったのか?

実は、10月中旬に今いる会社を辞めて、スタートアップに転職することに決めました。

設立まだ3年程度で、でも、資金調達もしっかりしたベンチャーに移るにあたって準備しよう(ちなみに、所属部署は経営企画部門になる予定)、というわけではないのですが、そもそもベンチャーってなぜ資金調達が必要なのか、とかどうやって資本政策作るのか、など基礎的なことを知らなかったので、「起業家のバイブル」とか「ベンチャー企業人の必読書」と言われている本書を読むことにしてみました。

 

 

本書を一言で表すと。

第3章までは企画職に携わっていると新たな気づきは少ないと思われますが、第4章以降は、企業価値の算出の考え方とそれに基づく資本政策の作り方や、ストックオプションのそもそも論と税務上の留意点、普通株式優先株式の違い方&使い分けに関する考え方、さらに投資契約とコーポレート・ガバナンス(取締役、監査役、etc)とまで、とにかく広範囲にわたる内容をこれほど平易に解説してくれるのか、とコスパ高い1冊

 

ただ、逆に、M&A関連の仕事やってたり、スタートアップですでに経営企画にいる人などからすると、物足りないかも。(そんな方には、本書内でしきりに筆者が「起業のエクイティ・ファイナンス」を薦めてます。こちらも年末に読んでみようかと思ってます)

 

 

章立て

序章 なぜ今「ベンチャー」なのか?

第1章 ベンチャーファイナンスの全体像

第2章 会社の始め方

第3章 事業計画の作り方

第4章 企業価値とは何か?

第5章 ストックオプションを活用する

第6章 資本政策の作り方

第7章 投資契約と投資家との交渉

第8章 優先株式のすすめ

第9章 ベンチャーのコーポレート・ガバナンス

おわりに

 

 

感じたこと・気づき

各章で自分が赤線引いた箇所をピックアップし概要をまとめてみました。ほぼ、書き写しみたいになっていますが…(汗) 基礎的知識や概念を幅広に扱っていることもありかなりのボリュームですが、それなりの価格の本なので、実際買うかどうかの参考に役立ててもらえれば、と思います。

 

第1章「ベンチャーファイナンスの全体像」より

ベンチャーはお金を借りるべきではない。金利支払負担が大きいから。

投資家はキャピタルゲインを得るために投資をするが、EXITの方法は大きく分けて3つ。

 1:上場 2:M&A 3:株式売却

‐2013年度時点でVCが1年間に投資する金額=718億円。これは、個人金融資産1600兆円の1/10,000でしかないまだ僅かな規模。ただ、これは少なすぎるというよりも、日本において1社あたり必要な調達額がまだ数億円程度でしかないせい。「イケてるベンチャーの卵」がどんどん出てくる必要有り。

 

第2章「会社の始め方」より

‐資本金は「債権者が資金を回収しやすくするためのバッファ」であり、資本金が大きいほうがいいという考え方は、銀行(債権者)中心社会におけるマインド。ベンチャーは株主中心社会なので、資本金が大きいことで会社や株主の得になることはあまり無い

 ⇒ゆえに、ベンチャー設立時は「なるべく資本金を減らせないか」と考えたほうがよい

‐設立直後の株主構成は大事。エンジェル等から普通株式で出資を募って、社長や安定株主の持株比率が低いと日本では上場が困難になることも。また、EXITできる可能性が小さいと見なされて、投資してもらう可能性自体小さくなってしまうことも。

最もシンプルな方法は、外部投資家の比率を低く、人数もごく少数にしておくこと。

 

第3章「事業計画の作り方」より

‐事業計画の全体構成。

 Executive Summary/会社概要/外部環境/数値計画(損益、資金)/検討している資金調達の概要、資本政策

‐数値計画でよくチェックされるポイントは、「いつ、どのくらい利益が出るか?」「いつ、どのくらいの資金が必要になるか?」

‐資金政策の内訳は、

 EXITをどうするか?/想定している企業価値の根拠/資金調達スキーム/株主構成(資本政策表)

‐どのくらいの目標を掲げればいいのか?

 …上場を目指すと言って投資してもらえるハードルは、5~7年後に10~40億円程度の純利益が出て、上場時の時価総額が300~500億円程度の可能性がある事業

事業計画のツボは、将来の利益/キャッシュフロー企業価値がどれだけ大きくなるか/いつごろEXITできそうか、という点。

‐銀行から借入れる時に作る事業計画は、「そのとおりにはならないかも」では困るが、ベンチャーというのは誰も見たことがないようなことを具体的に形にするのが仕事であるため、周りの人を巻き込もうと、事業計画の合理性だけでなく、そういう未来像が実現すると信じる力(=アニマル・スピリッツ)が根源にあることが必要。

 

第4章「企業価値とは何か?」より

‐「事業価値」=事業用資産の価値から、その事業で発生した負債を差し引いたもの

 「企業価値」=「事業価値」に、事業に使っていない資産も加えたもの

 「株主価値」=「企業価値」から、債権者から借り入れている有利子負債を引いたもの

 ※「株主価値」を株式数で割ったものが「株価」

創業期のベンチャーにおいては、この3つがニアリーイコールであることが多い。

企業価値の評価法

 1:純資産法=企業価値を帳簿上の純資産で評価。会社の「過去」に着目した評価方法であり、未来の可能性で評価すべきベンチャーには適さない。

 2:類似企業比準法=似ている企業・業種を参考に評価。ただし、注意する点が3つ。類似企業があるということは競争が激しいということ/数値に比例するのか?/他社の計数が入手できるかどうか

 3:DCF(Discounted Cash Flow)法=企業に将来入ってくるキャッシュフローを、現在の価値に割り引いたものが企業価値だと考える。DCF法において重要な要素は「割引率(r)」

‐残余価値の考え方。事業計画は3年とか5年で区切って、その先は、一定のペースでキャッシュフローが成長していくと仮定して、「その時点での(つまり未来における)」事業の価値を算出。残余価値は、(1)最終年度のキャッシュフローが大きければ大きいほど、(2)また、割引率と成長率の差が小さければ小さいほど(=割引率が低く、成長率が高いほど)、大きくなる。

 

第5章「ストックオプションを活用する」より

‐日本の所得税法の原則では「モノやサービスをタダで受け取ったら、受け取った時の時価を所得と考えて課税する」。

ストックオプションは例外。「株式が取得できる権利」の課税は、「もらった時」ではなく「権利を行使した時」の時価で考えた所得に対して課税される

‐さらに例外があり、「税制適格ストックオプション」については、付与した時も行使した時も非課税で、売却した時に初めて課税される。

 

第6章「資本政策の作り方」より

創業者はお金が無いことが多いので、創業者の持ち分は一度薄まったら二度と高まることはない

企業価値を高めてくれる投資家なら持ち分が下がっても得とかんがえてよい。外部投資家の出資を受けるということは、その投資家が参加することによって企業価値が高まるかどうかも重要。投資家が一緒になって戦略を考えたり人材や取引先を紹介してくれたり、一緒になって企業価値を上げる努力をしてくれて実際に何倍も上昇するということになれば投資してもらったほうが良い。

 

第7章「投資契約と投資家との交渉」より

‐投資を受けるまでのプロセス

 NDA締結 → タームシート締結 → デューデリ → 投資契約締結 → 投資実行

‐タームシート=どの程度の金額を投資して何%の持分が欲しいのか、どんな内容の投資契約が結ばれるのかについて、あらかじめ確認して進めるために書面におとしたもの。

投資契約の内容例

 募集内容/表明・保証/取締役の指名/上場等の努力義務/株式の買取条項

 その他に、先買権、拒否権、優先引受権、共同売却権 なども盛り込まれる。

 

第8章「優先株式のすすめ」より

‐「異なる種類の株式」の定める内容の内、優先株式に関わるものは以下の4項目

残余財産の分配を受ける権利清算時に、債権者に債務を支払った残りの財産をどうするかについての権利

会社による取得条項(コールオプション)=EXIT時に、会社が取得条項を使って優先株式を取得し、代わりに普通株式を交付する

種類株主総会での決議事項=拒否権。この優先株式を持つ投資家は、創業者等が2/3以上株式を保有しているような場合でも、合併や事業譲渡などを使った買収を阻止できる。

役員の選任権

‐EXIT時に、創業者だけが儲かり、投資家が儲からないケースになるのを防ぐため、残余財産分配権に優先権を付けたり、「取得条項による普通株式への転換比率の調整」の条項が付いた優先株式で投資をする方法が考えられるケースも。

 

第9章「ベンチャーのコーポレート・ガバナンス」より

‐経営者と株主の利害が食い違う場合に「経営者が実行したいかどうか?」ではなく、「企業価値を高めるかどうか」で企業が行動するようにもっていくことがコーポレート・ガバナンス。

アメリカは、取締役会=「プチ株主総会」。取締役を、経営者から1名、投資家から1名、両者合意でもう1名、という構成にし、機密情報を少数名に開示しながらスピーディーに経営を進める。取締役会への権限委譲が進んでいる。

‐日本では、経営者のプロが少ないことも有り、従来のベンチャーのコーポレート・ガバナンスの形態は、

「取締役会非設置会社」 → 「取締役会+監査役」 → 「取締役会+監査役会」 と発展。

今後は社外取締役が2名以上確保できるならば、

「取締役会非設置会社」 → 「監査等委員会設置会社」 または、

「取締役会非設置会社」 → 「監査等委員会設置会社」 → 「指名委員会等設置会社」

といった発展の仕方が起きうるかも。

‐取締役会非設置会社…取締役会を設置せず社長ないし合計2~3名程度の取締役で意思決定。取締役ミーティング。(日本では、取締役会を設置すると、監査役会や監査等委員会を設置しなければならず、重たくなるので。)

‐取締役設置会社&監査役設置会社…昔の商法時代からの中小企業の標準的パターン。

監査役会設置会社会社法上の大会社になると、監査役会の設置が必須。監査役会は1名以上の常勤監査役が必要、また、半数以上は社外監査役。この人材確保が難しい。

‐指名委員会等設置会社…監査役会を置かず、取締役だけでガバナンス。取締役によって「指名」「報酬」「監査」の3委員会を置く。かつ、各委員会メンバーの過半数社外取締役代表取締役はなく、代表執行役。

‐監査等委員会設置会社…監査委員会だけのバージョン。委員の人選・報酬は、株主総会にて他の取締役と区別して決定。

 

自分の気づきに関する記載は一切無し、ですね(苦笑)。

読む人の置かれている環境や、会社の成長ステージによって、業務上参考になるところと、そうでなくて単純に知識としてインプットしておくところ、が分かれると思います。私は、スタートアップに移る前なので、4章(企業価値)、5章(ストックオプション)と9章(コーポレート・ガバナンス)がすぐに身近なものとして必要性が高いと考え、興味深く読み進めました。これが、実際に入社後に経営企画部内でファイナンスに関わる機会に触れられるのであれば、6章(資本政策)、7章(投資契約)および8章(優先株式)をまた読み返すでしょうし、ひょっとしたら磯崎哲也氏の別著「起業のエクイティ・ファイナンス」も買う気が起きてくるのかもしれません。

 

第4章の企業価値については、DCF法の概念が解説されていますが、移る予定のスタートアップ企業が実際にどうやって価値算出されたかは、入社後に聞いたり調べてみたりしたいですね。そのプロセスを通じて、後追い的にDCF法の使われ方を学習できるのではないかと勝手に妄想しています。

第5章のストックオプションは税務に関する基礎知識や懸念点など、結構マニアックに解説されています。私は今、勤務する会社のストックオプションの未行使分を全て行使申請しようと毎日株価をチェックしてますが、所得税に絡む部分は、家計を預かる妻への説明に向けた知識整備としても必要なので、この章は本当助けられました(笑)。これが創業者・経営者側の視点で読むと、また読み方や感じ方も変わってくるのだろうと思います。

 

 

明日からのToDo

特にこれを読んで明日から◯◯をやってみよう!という気持ちになるものは無いのですが(汗)、次のスタートアップに移ったら、この本に立ち返って知識を再確認するような仕事にも是非取り組んでみたいと思います。(予定としては、事業開発・アライアンス担当なので。。)

 

というわけでは、本書は、起業したい人向けにも映る解説書兼入門書、というのがメインなターゲットかとは思いますが、スタートアップ企業の企画職に携わる(予定の)方々にとっても、企業の成長戦略をどのように描いていくかという仕組みを概念的に学べる機会を持てる良書だと思います。前述の各章概要を見て、興味がわいたら是非読んでみて下さい。

 

 

 

[書評]学びを結果に変えるアウトプット大全(樺沢紫苑)

本日の書評は、あの著名な精神科医の樺沢紫苑先生の新作。

 

学びを結果に変えるアウトプット大全 

 

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

 

 

 

読もうとした目的・狙いはなんだったのか?

読書や勉強は好きなのに、読んだこと・覚えたことはその後頭に定着せず、

仕事に活かせていないというのは、私だけでなく多くの人が感じる悩みなので

はないでしょうか。

 

生産性を高めるための仕事術に関する本を読んだのに、では生産性が高まり

成果が出始めた、、かというとそうでもない...

 

リーダーシップやコミュニケーションに関する本を読んで次の日からチーム運営

や組織管理のパフォーマンスが上がり始めた、、と思ったら、今でも部下や

周りの人とのコラボは苦労ばかり...

 

なんて思いは誰でも抱くはず。

 

読んだこと・学んだことを積極的に仕事や生活に活かすことで、それが血となり

肉となって自分のスキルが上がっていく、のは頭でわかっていながらも、どうすれば

いいのか分からない。いい方法がなにか無いものか。

 

そんな悩みを少しでも助けるてだてになるのが、この本に託した思いでした。

「読んだら忘れない読書術」で有名な精神科医にしてベストセラー作家の樺沢紫苑氏の

アウトプットの方法論を集めに集めまくった1冊。

 

日常になにか変化を起こせるのでは、と期待して手にとりました。

 

 

本書を一言で表すと。

 

「書く」「声に出す」を活用して「運動性記憶」として、かつ、インプットから

2週間で3回以上アウトプットすることで、「長期記憶」としても残るという

原則に基づいて、さまざまなアウトプット手法、見開き2~4ページで1トピック

ずつを紹介したノウハウ本。

 

です。

 

基本原則は、いたってシンプル。

上記に加え、「フィードバック」を受けることで、成果をさらに成長につなげよう

というこのサイクル。

それに則って、ただひたすら様々な方法が紹介されるという構成。

 

 

章立て

CHAPTER1        アウトプットの基本法則 (RULES)

CHAPTER2        化学に裏付けられた、伝わる話し方 (TALK

CHAPTER3        能力を最大限に引き出す書き方 (WRITE)

CHAPTER4        圧倒的に結果を出す人の行動力 (DO)

CHAPTER5        アウトプット力を高める7つのトレーニング法 (TRAINING)

 

CHAPTER4までで、計80ものトピックが語られます。

プラス、

CHAPTER5で7つのトレーニング方法が紹介されています。

 

構成もわかりやすく、シンプル。ただ、途中若干飽きが来ます(笑)。

やはりところどころで、内容が反復されるんですよね。

ま、その分、反復や強調されるところは、それだけ脳に定着もされやすい

のですが。

 

 

感じたこと・気づき

以下、感じたことや気付きをいくつか挙げます。

 

基本法

これは前述のとおりで、プラスして、

インプット:アウトプットの黄金比は、3:7 という点が非常に重要。

振り返ってみると、自分はこれが真逆どころか、8:2くらいだったのではないか、

と。意識を根底から変える必要を感じました。

 

あと、フィードバックは、人からアドバイス等もらう以外にも、

「なぜ?」と気づけどう解決していくのか考えるのも重要になります。

そして、長所を伸ばすのかor短所を克服するのか、といった視点を持つことも。

 

②まずは「話す」ことから

一番簡単なアウトプットは、やはり「話す」ことです。

ポイントは、自分の「意見」や「気づき」を加えること。

あと、雑談も効果的なのですが、回数や頻度を多くして、そのことで定着や

フィードバックを狙うというのが良いようです。

 

③「質問する」も大事なアウトプット

興味深かったアプローチは他人にではなく、「自分に質問する」方法。

そうすことで脳が活性化し、必要な情報を集めてきてくれるそうです。

それを応用した方法が、インプットする前にその目的や狙いが何なのか?を

自分に質問して学びの効率をアップさせる手法。

このことで「選択的注意」が発動されるそうです。

 

④「書く」ことの大事さ

アウトプット効果を高めるためになぜ「書く」ことがいいのか。

それはRAS(脳幹網様体賦活系)が刺激されるから。

また、できればタイピングよりも「手書き」で。学習効果高めるのは「手書き」。

 

すぐ書き出すことは「脳のトレイを空にする」ことにつながり、

インプットとアウトプットのサイクルを回すことにつながるので重要だそうです。

ここはつまり、人間の脳はPCのメモリみたいに保存に限界値があるので、

(しかも凄い低い…)少なく覚えては、すぐ紙に書き出してメモリを空にさせつつ

記憶定着をはかる必要があるということ。

なにかを学んだり気づいたことがあったらメモる習慣は今後身につけたい。

 

なお、速く書くコツは(1)時間を決めて書く、(2)構成を考えてから書く。

まず30点の完成度でよい。

「まず、完成」:「直し、ブラッシュアップ」にかける時間の比率=5:5。

特に、ブログや原稿などのアウトプットはこれを意識する必要がありますね。

「まず、完成」は頭でわかっていながらも、実際作り始めると完璧を目指し

ちゃったりするんですよね(苦笑)。

「直し、ブラッシュアップ」に意識を向けることでここは徹底できるかも。

 

その他にも、自分のつらさ・苦しさ・悩みを紙に書き出し自分の心のうちを

表現することで癒し効果を得られる、といったデトックス的利用法も納得感

がありました。

 

⑤「ひらめく」のは実はぼぉーっとしているとき

「創造性の4B」…Bathroom、Bus(乗り物、移動中)、Bed、Bar

これは昔からよく言われている、ひらめきやすい場所やシチュエーションを

英語頭文字を取ってコンセプト化したもの。

 

少し衝撃的だった指摘は、

ぼぉーっとしているのがもったいないと思い暇な時間にスマホをいじりTVを

見るのは、逆に脳を絶えず使い続けることになり、脳を疲れさせ、働きを退化

させる原因になりうる、ということ。

 

この点については、まずは週末自宅にいるときから意識しようと思います。

 

そして、準備→孵化→ひらめき→検証のプロセスを意識して、

インプットしたらひらめきが来るのをぼぉーっと待つ。

 

⑥目標実現のためにも「書く」

そして、毎日目標を見返す。

公言する。また、定期的にフィードバックする。

 

⑦企画書を書くコツ

(1)アイデア出しの基本は、アナログからデジタルへ。まずは「紙に手で書く」

(2)思いついたらとりあえずコンセプトを形に残しておく。そして1-2ヶ月寝かす

 ストックを準備しておくことが重要

(3)普段から企画のネタを集めておく

(4)プチマーケティング。小規模でいいから実行してみる。セミナーやブログ、等

 

ここは、(4)の部分が自分にとっては斬新でしたね。こうすることで、フィード

バックが得られ、アウトプットの精度を上げることができる、というわけです。

ほぼ無料でできることですし、失敗を恐れる必要もありません。こういう考え方

は即実践するにつきます。

 

⑧最強のアウトプットは「教える」

教えると、自分の理解度や不十分な点が明確になる。次に教えるまで、また

インプットをやり直して、そこを補強する。その繰り返し。

 

⑨決断で悩んだら「ワクワクする」ほう、「最初に思いついた」ほうを選ぶ

ワクワク=ドーパミンが出て脳のパフォーマンスが上がる。

本能から出てくる考えのほうが、大きい。

 

⑩日々の生活改善に、アウトプットを高めるためのTipsを取り込む

・睡眠は7時間以上

・1回1時間×週2回の有酸素運動で脳の神経細胞の新生が促進される

・15分の「スキマ時間」を活用する

・1分深呼吸法で怒りをコントロール

 (5秒息吸う→10秒で吐く→もう5秒吐ききる ×3セット)

 

 

明日からのToDo

まとめの最後の方は、少々殴り書きに近くなってしまいましたが、とにかく

有用なヒントがあまりにも多すぎて、書評を書いていて、消化できるか心配に

なってしまうくらいです。

 

ただ読み返してみると、実は1つ1つは難易度は高くなく、どれも頭でわかって

いることばかりなのです。要はやるかやらないか。

 

私は本書を読み始めながら、まずは、と思い立ちブログを始めてみたので、

その他のTipsをどんどん実践していきたいと思います。

その中で、まず9月までに習慣化させたいことは、

 

 ・週1冊のペースでの書評のアウトプット

 ・企画書を紙に手で書く。1日1ネタはハードなので、隔日1ネタ。

 

の2点です。まずはここから意識していきたいと思います。

 

そして、10月入ったら、また本書と本ブログを読み返して、上記2点の習慣化

がどれくらい定着しているか、を自己評価して投稿したいと思います。

 

 

書いてある内容は、前述の通り知的レベルが高いものではないのですが、

自分の背中を押してくれる何かを期待したい、とか、様々なTipsを忘れた

場合にすぐ読み返せるようにしておきたい、といった方々に本書を強くオススメ

します。是非読んでみてください。